心の健康。

日々ストレスを感じる現代で、どすれば心の健康は保てるのか?

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2004/03/22

1.心の健康を求めて

〜心と体のアンバランスについて〜

心の健康を求めて

毎日のテレビニュースでも、新聞紙上でも、残酷な事件が繰り返し報道されている。殺人、詐欺もかなり異常なもので、ここ二、三年はとくにその悪質ぶりが目立つ。心が痛むばかりだ。

それに加え、どうみても過重労働が原因と思える、高速道路での大型トラックによる交通事故も多発している。それ以外にも尊い生命が失われる交通災害事件が頻発している。

それにしても、見知らぬ人には声もかけられない。親切で注意をしても、その相手は反撥して暴力を振るう。そのあげく殺されないとも限らない。そんな事件も多発している。

これら犯罪の根底には、今日の社会のなか、人が人を信じられないということがある。さらに自分自身をも信じられなくなる社会現象があるのではないかと思う。

将来に対する希望とか夢などを持てず、今日さえなんとかなればという刹那主義に多くの人々がなってしまったようだ。

とにかく金さえあれば何もかも得ることができる。人の心も、この金の力でどうにでもなるという、おかしな思想が、日本中の隅々まで浸透してしまい、多くの人々は、心の健康を害しているように見える。


心の健康について ?

精神医学では、心の健康について次のような定義をしている。

    1. 思考力、行動力に柔軟性があること。
    2. 対人関係で協調性があり、積極的に社会に参加する活動を持っていること。
    3. 他人を尊重し、他人に対して愛情を持てること。
    4. 自分自身の長所、短所を素直に見抜き、かつ自制心があること。
    5. とにかく、いろいろあっても生活をエンジョイできること。

とある。

この定義を、今日、どれだけの人々が実践できているか疑問がある。

他人のことを考えていたら自分が生きていけない時代なのだから…、と発言する人が多い。

信頼できる人と人との交流、それを互いにつくっていくことで、人と人との信頼感が生まれ、そこに本来の生があるのだと思う。

生きることは、愛の感情を呼びさます努力を毎日毎日、意識して実践して進むしかないのではないか。これらの努力を、いつの間にかしない人が増えてきたように思う。このことは、日本だけでなく、地球規模で起こっているようにみえる。

軍事力がものをいい、テロは悪と決めつける。たしかにテロは悪だが、なぜテロが起こるのか、この点について国連を始め、世界の主要国の主人公はなぜ論議しないのか。

詐欺で多くの人々から金(生活資金)をまきあげ、どこか外国に逃げてしまう…、そして、これら詐欺師は楽しい生活をしているとか……。どうみてもおかしい時代になってしまったようだ。

どんなに努力しても、愛の感情が呼びおこせないとき、どうなのか。

そのとき、その人の心は死に、地獄にいるのか。しかし、この地獄をつくっているのは私たち人間社会なのだ。こんなとき、多くの善良な市民は、心とからだのバランスを乱してしまう。

病気になる。心を病む。心とからだにダメージを受ける。このことは、毎日の働く習慣のなかにその原因が存在している。

具体的にみてみると、

    1. 慢性的な睡眠不足。
    2. 月に50時間を超える残業。
    3. 怒りの抑圧。
    4. 言いたいことをはっきりと言えない。
    5. 慢性的な疲れ。
    6. 休日をゆっくりできない。
    7. 緊張の連続

などを挙げることができる。
これら具体的因子についても、今日の社会では誰でもが大なり小なり日常体験していることである。

ここで言いたいことは、この具体的な因子は、異常なことではない、当り前のことだという認識を持つことが、結局のところじわりじわりと人間性を喪失しているのではないかということだ。

これらの具体的因子の積みかさねは、やがて高血圧、脳卒中、心臓病、各種ガン、胃・十二指腸潰瘍、自律神経失調症、うつ病など厄介な病気と結びつくのである。

どのようにして、これら異常から少しでも改善の道へ努力するか。それはお互いに助け合うしかないだろう。

しかし、私は医学的な面から(大衆医学という面から)、たんに血圧や心電図検査という分析的な臨床医学ではなく、心身のアンバランスを直接つかむところの健康診断を、職域や地域で実施して、社会的に問題化し、これら心とからだの疾患者に人間として対処する医療活動が必要だと思う。

心身のアンバランスをチェック

この健康診断には、たとえば心理テストがある。コンピュータ等による心理負荷テストを行い、血圧、心拍、ストレスホルモン(唾液中のコルチゾール)、末梢血流速度の反応を調べたり、さらに交感神経系機能、副交感神経機能、24時間の心拍・血圧により、ストレス反応をみたりする諸検査である。

そのほか、睡眠状態をみる睡眠時血圧酸素飽和度測定がある。

医学的な検査で異常が出た場合、またそうでなくても、自覚的に不安定な場合、カウンセリングを受けたり、自律訓練法、バイオフィードバックなどにより、一定時間リラクゼーショントレーニングを定期的に受けることも大事となる。

仕事のこと、人生に対する悩みは、自分自身で努力して解決の方法を見つけなければならないが、明日に向かって生きていくための、自分の心とからだが異常な状況にあるのを知って、改善することが大事なのではないかと思う。

私たちは、一人ひとりが自分の人生の方向を持って互いに手をとり学び合い、苦しみに対して心の連帯をつくることで、そこに小さくてもいい愛が生まれるものだ。経済成長一本槍の人生から脱却し、自分の人生のためにできる部分は所有し、そうでない部分は捨て、生活をエンジョイする。

このための経済社会を礎にして、文化および文明を楽しくつくっていくのが、本来の人間の自然の姿ではないか…、いやその姿になる努力を積みかさねていきたい。

ある生命科学者は、私たちの脳の神経回路が、神の存在を必要としていると言った。心の中に神性を持っている。その神性は、自然や人を愛することに継がる。そこには神の性格を持つ心の健康の本質がある。

私たちは生かされている存在。路傍に咲く名もない花と、生きる次元は同じなのだ。思い切って小さな自然を愛することは大切だ。脳はそのことを求めている。


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