メガネの専門家

認定眼鏡士の役割から目の構造について解説しているコラムです。

Home 》 健康情報 》 菊池一久コラム一覧 》 コラム

菊池一久先生の写真

2004/10/08

5.メガネの専門家

〜認定眼鏡士が活躍〜

認定眼鏡士が活躍

新聞の折り込み広告のなかに、詳しく説明されたメガネセールのチラシが入ってきた。

「遠近両用のメガネにも自信があります」

「中近・近々も最高にお買い得なベスト価格で…」

「パソコン対応メガネレンズ各種取り揃えて---」

など、フレームも全てブランド品だと、価格も明記されたわかりやすいチラシだ。

眼鏡業界における技術の進歩は、屈折測定分野においても加工調製分野においても、コンピューターの導入によるシステム化が主流となっている。

日本の眼鏡店の技術設備は、世界的に見ても超一流だと、その道の専門家は述べている。

しかし、眼鏡調製に携わる人が、どれだけ、自然から与えられた眼についての深い知識と眼科医学をはじめ、生活スタイルと眼鏡の微妙な関係を臨床的に熟知した上で、高度な専門的技術を身につけているか。この点になると社会的にみても、消費者の立場からみても、はっきりしていない。

そこで、この眼鏡調製の専門家として数年前から、認定眼鏡士が活躍しだしたのだ。

認定眼鏡士制度は2001年に発足、技術者の資質の向上とともに、消費者をはじめ一般国民に最適のビジョンケアを提供できるシステムの構築を目標としている。

欧米諸国においては、大学教育のなかで専門過程(カレッジ)としてオプトメトリー資格取得の部門がある。

日本では、眼鏡技術者養成の専門学校と、公益法人である社団法人日本眼鏡技術協会が主体となって、認定眼鏡士の制度を推進している。

会長の津田節哉氏は、南カリフォルニア・オプトメトリー・カレッジに6年間留学、アメリカ・オプトメトリー学会会員で、名古屋市内で眼鏡店を開いているドクター・オブ・オプトメトリーである。

今日では、東南アジア諸国でも資格制度が確立されつつあり、学術研究会も充実してきている。

昨年(2003年11月)世界オプトメトリー会議(WCO)が日本で開かれた。ここにはアメリカをはじめアジア太平洋地区諸国のオプトメトリーが現状と問題点、研究成果を論じあった。

眼はすぐれた光学機械

光が眼に入ってくる。角膜はピント合わせの働きをし、この集まった光の束を次の水晶体に送る。この時、角膜と虹彩(しぼり)との間にある「房水」が大きな役割をする。この房水は、眼圧を一定に保つほか、入ってきた光を束ねて水晶体に送る働きをしている。(眼の構造図参照)

水晶体はご存知のように自然のレンズであり、このレンズ自体にピンと合わせの働きがある。

すなわち、必要により毛様筋が縮んで水晶体を引っぱって、その厚さを薄くし、反対に毛様筋がゆるんで水晶体はその厚さを増す。この水晶体は人工のレンズとは違い、およそ2200もの非常に薄い膜が重ってできている。タマネギの皮のように重なりあった構造で、なめらかな屈折を行う役目を果たしている。

しかし、加齢とともに、この水晶体のしなやかさは減退し、毛様筋の働きはあっても、若い時のようにその厚さを変化させることが、難しくなる。

専門家は、ヒトの眼は、最もすぐれた光学機械の一つだというが、私は、そんなものではなく、科学をはるかに超えた自然の偉大さをそこに強く感じる。

物を見分ける解像力は、専門書の記述によると、0.0003ラヂアン---すなわち、角度の単位でいえば1度の1/60で、約30pの距離から100ミクロン(0.1o)の物を見分けることができるという。

網膜には、光の刺激を感じる役目をしている細胞を視細胞というが、日中の明るい光と色を感じる錐状体と、薄暗い色と光を感じる桿状体という二種類のものがあるが、錐状体の数は600万個、桿状体は1億2000万個といわれ、厚さ1ミリにもみたない網膜上に、なんと合計1億2600万個の細胞を持っていることになる。

専門書をみると、私たちよりすぐれた視力を持った動物は多い。タカなどは地上1000メートルの高さから体調20センチにみたないネズミのような小動物の動きを判断するとある。

しかし私たちと違って、錐状体しかなく、暗くなれば盲同然となってしまう。

またレンズの役をする水晶体を通して網膜に写る景色は、左右反対、上下反対、しかし私たちが見る景色は実像である。これは中枢が網膜に写ったもを上下反対、左右反対なのだと理解するように条件づけられているためである。

物の形を見分け、それがなんであるかを知る中枢は、脳の後頭葉の視覚中枢に存在する。このことでも分かるように、眼は大脳の窓であり、いわゆる脳の一部でもあるといえる。

ヒトが識別できる色は虹でよく知られている赤、だいだい、黄、緑、青、藍、紫の七つの基本色だが、さらに詳しく調べると、なんと165ぐらいの色を識別できるという。この感じとる網膜細胞もさることながら、それを識別するという中枢の働きに、眼の素晴らしさと感動を覚える。

眼を酷使する現代人へ

私たちは、大自然からなんと恵まれた眼をさずかっているか。そのことを忘れ、これが当然と眼の酷使から眼の自然環境を壊している。

おまけにストレス社会、精神的な日々のプレッシャーは、自律神経をおかしくし、眼の働きを低下させている。その他、生活習慣病である糖尿病、高血圧症などから、さらに治療上で使用する薬品のなかにも、眼の働きを低下させるものもある。

近視、乱視、遠視、老眼視と屈折異常による視力の異常は、今日、かなりの人々にあると思われる。日本の人口が1億2000万人、そのうち、およそ半分以上の人々に何らかの屈折異常があるのではないかと思う。メガネやコンタクトレンズのお世話になっている人は今後、確実に増えていくだろう。この尊い生命の眼を守るスペシャリストの一人である眼鏡士の使命は重大である。
彼等のスキルアップは当然のこと、レンズやフレームの製造研究者や眼科医師、理工系の研究者など、さらに精神心理面の専門家とも協力して、自然への畏怖の念を持って、この眼を守っていく人生哲学が必要ではないだろうか。

取り扱いサプリメント一覧

マルチタイプ

ミネラル

セットタイプ

話題の栄養素

ビタミン